消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

イベント等

第20回消費者志向経営セミナー
「消費者法制の基礎セミナー」の開催報告

 当機構では、7月16日(木)午後に「消費者法制の基礎セミナー」と題した第20回消費者志向経営セミナーを開催いたしました。

 今回は、法律専門家からの消費者法制の概要や消費者契約法を中心とした具体的な差止請求事例のご紹介をし、最後に日頃消費者から相談を受けている消費生活相談員の方からの事業者の皆様への要望事項をお伝えしました。このような消費者法制のセミナーは他団体ではあまり実施されていないため、法務・コンプライアンス部門およびお客様相談窓口等の顧客対応部門に今年配属された新任担当者の方々や、消費者法制の基礎的な学習をしたい方には有効なセミナーとなりました。

1. テーマ
消費者法制の基礎セミナー
2. 日時
2015年7月16日(木)
13時30分~17時00分(受付 13時~)
3. 会場
主婦会館プラザエフ 5階会議室
4. 参加費
お一人様 7,000円
5. 対象者
企業・団体の法務・コンプライアンス・顧客対応・消費者契約担当部門の新任担当者
消費者法制の基礎的な学習を希望する方
6. 参加者
22名

7. タイムスケジュール

時間 内容 講師
13:30~16:10

適宜、休憩
〇消費者法制の概要
 消費者問題と消費者法の歴史
 消費者法の種類
〇各法律の概要
 消費者基本法、消費者安全法、
 消費者契約法、特定商取引法、
 景品表示法、食品表示法
〇事業者として注意すべき点
 消費者団体訴訟制度(差止請求事例)
弁護士
佐々木 幸孝 氏
(日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会委員 専修大学法科大学院客員教授 消費者機構日本副理事長)
16:10~16:20 質疑応答
16:20~16:30 休憩時間
16:30~17:00 〇消費生活相談の業務とは
〇最近の消費生活相談の傾向と特徴
〇事業者への要望
消費生活相談員
大谷 聖子 氏
(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 消費者相談室副室長 消費者機構日本理事)

8. 講義内容

 前半の消費者法制の講義では、佐々木幸孝弁護士より消費者問題の発生から消費者保護基本法などの成立、社会情勢に合わせて、関連法制の整備が進んだことを過去の代表的な消費者被害事件をもとに解説されました。消費者関連法の種類では、その位置づけや役割の違いなどが解説され、今年では、食品表示法が新たに加えられたことが紹介されました。

 各法律の解説では、消費者基本法から始まり、消費者安全法の役割解説、そしてメインの消費者契約法の詳細説明と続き、過去の裁判例を引用しながら具体的な内容がわかりやすく紹介されました。次に、複雑な特定商取引法の概要説明、景品表示法のポイントと今年4月から施行された課徴金制度の解説、新食品表示法の制定趣旨などが説明されました。

 後半の事業者が注意すべき点については、消費者団体訴訟制度の解説を通じて、当機構などの適格消費者団体が行った差止請求事例をもとに、事業者が気を付けるべき勧誘行為や契約条項が説明されました。また、来年施行予定の消費者裁判特例法(消費者被害回復訴訟)の概要の解説があり、参加者からはこの内容に関する質問も出されました。

 最後に、消費生活相談員の大谷聖子氏から、国民生活センターおよび消費者庁の公表データより、消費者相談の概要と傾向と、お客様相談担当が知っておいてほしい事項について報告がありました。

佐々木幸孝弁護士
佐々木幸孝弁護士
大谷聖子相談員
大谷聖子相談員

 消費者関連法令は、いずれかの法令が毎年のように改正されているため、その改正内容を把握し、対応するための準備が必要になります。今年は食品表示法の施行があり、来年は景品表示法の課徴金制度、消費者裁判特例法の施行が控えています。

 各事業者で準備すべき内容を検討する際には、法令の理解を進めること、消費生活相談センターおよび自社のお客様相談サービス部門からの問合せ等を真摯に受け止め、分析することなどがあります。また、適格消費者団体が実施するセミナー参加も有効です。

 今回のセミナー参加者からは、「消費者法制の基本的な内容が理解できた。」「普段法律に関して学習する機会がないのでよかった。」「消費者相談現場の話を聴く良い機会になった。」などの感想をいただきました。