消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

申入れ・要請等

株式会社新生銀行がカードローン規約から、相続開始時の期限の利益の喪失条項を削除する方針であることを確認しました。

協議結果

 株式会社新生銀行(以下、「新生銀行」は、無担保カードローンである「スマートカードローン プラス」の「カードローン規約」から、遅くとも2021年3月末までには相続開始時の期限の利益の喪失条項(以下、「本件条項」)(※)を削除する見込みであるとのことです。

 また、新生銀行は、本件条項を削除するまでの期間でも、下記回答②のとおり、相続人と個別協議のうえ、相続によって当然に過大な負担を課すことのないよう、相続人の状況を踏まえた柔軟な対応をとっているとのことです。

 これにより相続人は、相続の開始のみを理由として、新生銀行から直ちに貸越元利金等の一括弁済を求められる等がなくなりました。

(※)新生銀行の本件条項とは「カードローン規約」の第10条⑥です。

第10条(期限の利益の喪失)

  1. 次の各号の事由が一つでも生じたときは、会員は当然に期限の利益を失い、本契約に基づく残債務全額を直ちに支払うものとします。
    ①~⑤省略
    ⑥ 会員について相続の開始があったとき
    ⑦~⑪省略

申し入れ

 消費者機構日本は、2019年12月13日、新生銀行が無担保カードローンである「スマートカードローン プラス」の「カードローン規約」で使用している本件条項には、消費者契約法第10条違反があるとして削除を求める申し入れを行いました。

回答

 新生銀行からは、本件条項が消費者契約法第10条に照らし違法であるとは考えていないものの、今後のより一層の顧客保護、顧客本位の観点から、以下の対応とするとの回答(2020年2月19日、3月19日)がありました。

  1. ①「カードローン規約」から本件条項を削除する。削除は、2020年6月以降2021年3月末まで実施できる見込み。
  2. ②相続が発生したとき、本件条項を一律機械的に適用はしていない。実際、相続人から一括弁済を希望するケースも多い。取引を継続する場合も、相続人と個別協議のうえ、従前の利率、取引期間を維持するなど、相続によって相続人に当然に過大な負担を課すことのないよう状況をふまえた柔軟な対応を行っている。

評価

 当機構は、新生銀行が相続時の対応に伴う負担が発生するなか、本件条項の削除を決定した企業姿勢を評価します。