消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

申入れ・要請等

エスアイヘリシス(株)より、令和4年6月1日以降は、従前の「航空機売買契約及び航空機賃借契約」の勧誘は行っておらず、同年8月下旬より開始した「オぺレーションリース事業」は、契約の相手方を営業のためまたは営業として契約する者に限定しているとの回答を受領しました。

契約の概要

 エスアイヘリシス(株)は、ヘリコプターの持分を1口110万円(税込)で販売。そのヘリコプターを持ち分購入者から、一定の賃借料を支払って賃借し、「航空機運航事業(遊覧飛行等)」に供するという事業を展開していました。また、持分購入者には、購入金額に応じて所有者優待サービス等を提供するとしていました。

 そして、持分代金支払日から起算した3年、5年及び10年の特定日で解約した場合は、未利用の所有者優待券を券面額の65~75%で、機体を25万円で、それぞれ買い取る(いずれも予定額)としていました。

 一方、特定日以外の解約に対しては、機体買取予定額から買取手数料(購入代金の10%)を差し引いた額のみを返金する(所有者優待券の買取はない)としていました。

当機構の申入れの内容

 特定日を設定し、その時期以外の解約に対し、機体買取予定額から買取手数料(購入代金の10%)を差し引いた額のみを返金する(所有者優待券の買取はない)との趣旨の条項について、消費者契約法第9条第1号に該当すると考え、当該条項を契約書から削除するよう求めました。

※消費者契約法第9条
次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
二 (略)

協議の経過と結果

 相手方事業者は、「お客様の損害賠償請求を妨げるものではございません」等の文言を入れる等の対応を表明しましたが、当該条項を削除するとの回答は得られませんでした。

 しかしながら、書面協議において、令和4年6月1日施行の改正預託法により販売預託の勧誘・契約については、消費者庁の確認が必要である旨指摘したところ、相手方事業者は 令和4年6月1日以降は、従前の「航空機売買契約及び航空機賃貸借契約」の勧誘は行っていない旨、2022年8月10日付書面で回答しました。これにより削除を求める必要がなくなりましたので協議終了としました。

新たに開始された「オペレーションリース事業」は、消費者を対象とした契約ではないことを確認

 その後、2022年8月下旬に当該事業者のホームページでは、新たに「オペレーションリース事業」という名目で顧客にヘリコプターの共有持分を販売し、それをリースすることで賃貸料を得られる旨の案内が行われていました。この事業についても、改正預託法の規制対象ではないかと指摘しましたところ、当該事業者より、契約の相手は、営業のためまたは営業として契約する者に限定している旨の回答がありました。

 以上の経緯より、消費者を対象とした契約ではなくなったと考えられるため、当機構の申入れの趣旨は実現したと判断し、本件を終了いたしました。