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差止請求訴訟

医療社団法人サカイクリニック62との間で裁判上の和解が成立し、差止請求訴訟が終了しました。

(注) 本件の対象は下記のクリニックになります。類似した名称の医療機関がありますので、くれぐれもお間違いの無いようにお願いいたします。
医療法人社団サカイクリニック62(東京都渋谷区道玄坂)
代表取締役  坂井 万里

 医療社団法人サカイクリニック62と当機構との間で、2025(令和7)年3月28日、裁判上の和解が成立し、東京地方裁判所に係属していた差止請求訴訟が終了しました。(東京地方裁判所令和6年(ワ)第24453号)
 当機構の提訴後、当該医療社団法人は再生医療・免疫療法などの優良誤認表示(実際のものよりも著しく優良であると示す表示)に該当する広告表示を直ちに削除した上で、訴えの却下(対象となる広告は削除したのであるから訴訟を終了するべきであること)を求めたものの、東京地方裁判所はこれを認めませんでした。
 その後、当該医療社団法人が下記①の確約および②を実施することで最終的に和解となりました。

  1. ①医学的効能及び安全性を裏付ける客観的・合理的な根拠資料を有することのない広告表示を行わないこと。
  2. ②広告表示の削除後も残る一般消費者への影響力なくす措置として当該医療社団法人のホームページ上に優良誤認表示(実際のものよりも著しく優良であると示す表示)があった旨、修正広告を和解成立日から1か月間掲示し、消費者への周知を行うこと。

※掲示された修正広告の内容

マクロファージ活性化療法(化粧品及びサプリメントを含む)、テロメア注射及び点滴、腸内フローラ移植、エクソソーム点滴療法、温熱療法、高濃度水素吸入療法、並びに自己血サイトカインリッチ血清療法の効果効能に関する表示について優良誤認表示(実際のものよりも著しく優良であると示す表示)がありました。
令和7年3月28日

1.差止請求訴訟を提起するまでの経緯

  1. (1) 当機構に医療社団法人サカイクリニック62の広告表示について情報提供がありました。
  2. (2) 当機構において医療クリニックのホームページサイトの医療広告の内容と医学文献等による調査の結果、優良誤認表示該当性の疑いを持っている診療行為を具体的に特定し質問書(2024年4月4日付で回答期限は2024年5月20日)を送付したところ、同年4月12日、医療クリニックの事務担当者と思われる人物から「今後、ホームページに掲載しない。」との電話連絡があり、また、同月18日にも「ご指摘いただいている件を踏まえて、現在HPを変えています。」とのメールを受信しました。
  3. (3) その後、同年5月8日の時点においても、サイトの表示が変更されていなかったことから、同日、サイトの改訂が完了する時期を確認したところ、同月14日、「現在編集中で、編集終了時期は来年になる予定です。」との回答でした。このため、サイトを改訂するとの回答は単なる時間稼ぎに過ぎなかったと受け止めるしかありませんでした。
  4. (4) そこで、当機構は、サイトの表示のうち景表法に反する表示について速やかに改訂若しくは削除するよう求める正式の申入れ(2024年7月8日付で回答期限は2024年8月7日) を送付しました。これに対しても同年8月17日、メールとFAXで医療クリニックから「以前もお伝えした通り、現在編集中で編集終了時期は来年になる予定です。」との回答でした。
  5. (5) 以上のような経過から、当機構は消費者契約法第41条に基づく差止請求書を送付し、2024年8月29日に相手方へ到達したことを確認しました。到達後、一週間経過した後も是正措置が取られなかったことから、やむなく東京地方裁判所に提訴することとしました。

2.訴状はこちら⇒「訴状2024年(令和6)年9月10日付

3.和解条項の全部はこちら⇒「和解調書2025年(令和7)年3月28日付