消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

イベント等

第19回 通常総会記念企画 開催報告

 下記のとおり、第19回通常総会記念企画を開催したことをご報告いたします。

  1. 日 時  2023年6月13日(火) 18時30分~20時05分
  2. 会 場  主婦会館プラザエフ 5階第1・2会議室
  3. 参加者  75名(会場参加者23名(事務局含む)、オンライン参加者52名)
  4. テーマ  悪質商法への行政的手法の検討~違法収益剥奪や財産保全、被害回復
  5. 講 師  後藤巻則さん(内閣府消費者委員会委員長 早稲田大学名誉教授)

企画概要

 破綻必至の悪質商法は、民事ルールでの対応が困難な上、さらに行政処分をすり抜ける形で被害を生み出し続けています。

 現在、第7次消費者委員会の消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループで破綻必至商法に対する行政的手法が検討されています。

 その検討状況について後藤委員長より講演いただき、質疑・応答を行いました。

講演概要

 2023年5月26日に開催された第46回ワーキングの資料(報告書骨子案)を元に報告いただきました。その項目は下記のとおりです。

  1. 多数消費者被害を生じさせた近年の悪質商法
  2. 共通する本質的な問題点
  3. 現行の対応方法
  4. 制度的手当の必要性
  5. 制度の対象とすべき「破綻必至商法」
  6. 破綻必至商法を止めて被害を回復するための具体的方策
  7. 上記6の方策を高めるための方策

質疑・応答概要 ○質問、●回答

 消費生活センターの相談現場では破綻必至商法であるとほぼ確信を持つような相談を受けることがある。また、内部告発という形で従業員から情報提供を受けることもある。破綻必至商法は早期に止めることが大事であるから、消費生活センターのセンサー的な機能を活かすことが有効だと思う。
PIO-NETのキーワードには「急を要する」とか「破綻必至」はない。ただし、チェックボックスとして「極めて悪質」はある。国民生活センターの付与定義では「警戒を要する事業者」とされ、相談員の経験と判断で付与して良いとされているが、基準としては曖昧だ。
国民生活センターの「急増指標」はある程度相談情報が集まってきている状態、つまり被害も増えている段階で提供される。その時点では業者の資金も散逸し被害救済も難しい。被害回復を図るためには行政庁による迅速な対応が必要である。PIO-NET情報にアラート機能を持たせることが有効ではないか。破綻必至商法の定義が明確化されれば相談員もチェックしやすくなると思う。
 破綻必至商法を早期に探知することが非常に重要だ。ワーキンググループで国民生活センターへのヒアリングを実施したが、資料からPIO-NET相談情報の詳細な分析が有効であることが読み取れた。被害が顕在化しない段階でも「支払う金額が高額である」「事業者の信用性についての質問がされる」「加入時に高配当を謳っている」など、これらの点をとらえて早期の探知が可能となる場合もあるということであった。
他方、相談情報だけによる早期探知には限界もある。現場の危惧の段階でもあってもその情報が迅速に行政庁に到達し早期対応できる制度や体制の整備が必要である。また、相談員の研修の充実そのサポート体制も必要になってくる。
 視覚障害1級の私は文字が読めない。何か契約するにしてもその相手を信用するしかない。そうすると書いてあること違っても相手の言うことを信用してハンコを押すことになる。実際に嘘だとわかったときに、葉書でクーリングオフをする制度があるものの、自分ではできない。家族が居ればいいが、家族であってもすぐ対応してくれるわけではない。障害を持った人が騙されてしまった場合に救済される制度・法律。例えば、消費者センターに相談した際に内容証明を代筆してもらえるといった基本的な体制を充実して欲しい。障害があるが故にできないことを行政が代理で行えるよう制度化していただきたい。書類でおこなう大事な契約はすぐその場で確認ができない。そのような方が消費者センターに問いあわせをした場合、その対応についてマニュアルの整備や制度化の検討をお願いしたい。
 ある日突然に障害を負うことは誰にでもあり得ることで、全員に関わる問題だと思う。脆弱な消費者が被害に遭った際に被害救済からとり残されることがないようにしなければならない。消費者契約法第3条の情報提供の努力義務の1項2号で「個々消費者の年齢、心身の状態、知識及び経験を総合的に考慮した上で必要な情報を提供する」とされている。この年齢、心身の状態は法改正によって新たに追加されたものだ。法律も心身の状態に配慮するよう敏感になってきてはいるが、未だ検討すべきことも多い。ご要望については消費者法の研究者は肝に銘じておくべき問題であると考える。
 破綻必至商法の定義が一番重要。将来破綻するかどうかは契約書を見れば大体見当がつくが、事業の収益はブラックボックス。収益と配当が見合っているのか。定義の「事業が約束した配当等を賄うだけの実体を有しているか否か」についてどうすれば知ることができるか、この点を行政に取り組んでほしい。
もう一つは、定義の「先行の出資者への配当を行わざるを得ない事業スキーム」について。最初の数年は配当を実施していたが途中から実施しなくなったケースでは、どの時期から破綻必至商法になったか、そこの認定も問題だ。そもそも配当とは、真っ当な事業体であれば、真っ当な金融商品の配当よりも多くなるはずはない。破綻必至商法の対象にするにはレジュメの破綻必至商法の要件①から④をすべて満たす必要があるが、行政がもう少し早く調査に入れるようにすべき。行政側で事業者の財務状況を調査して問題がないのであれば事業継続をしても良いので、財産が散逸する前に調査に入れるようにすべき。財産が無くなってから始まるのでは被害者は救済されない。
もう一つ。破産申し立てではなく、行政で保全管理を行うべきではないか。MRI事件では行政機関であるFBIやSECが保全管理を行っていたので返還すべき財産が残っていた。破産申し立てとなると破産管財人の報酬に取られてしまい、返還に向かう分が少なくなってしまう。破産申し立てには反対だ。
ポンジスキームに関しては刑罰の対象にして明確にしてほしい。MRI事件の場合、社長と日本の責任者は有罪になった。アメリカの場合、刑事罰の対象となってあらゆる証拠が出てくる。清算はされるものの、解散にもっていくのは望ましいことではない。刑事罰の対象としてあらゆる証拠がでてきた後に清算に入った方が良いと思う。 最後に、破綻必至商法の要件①から④のすべて満たすことについてどのように調べていくのかがよく分らない。
 破産申し立てに反対の立場ということであれば、解散命令を採用すべきということか。
 先ず財産を保全する仕組みが必要ということ。財産が保全されれば解散したら清算となる。清算にあたり裁判所を介入させるかそれとも清算人になるか、財産を保全する仕組みがあれば清算はどちらでも構わない。
 会社の財務状態を把握する必要があり、それによってその会社のお金の流れがわかる。そのためには各会計年度の帳簿を公認会計士の知見で調査する体制を整備することが挙げられる。ただし、実務的なやり方はその専門家と考えていくことになる。会社の財務状態を把握する制度をつくるのは大変なことだ。消費者庁の人員をあと100人確保することになるかも含めてどのようなスタッフを集め何ができるか考えていく必要がある。今後の状況をみながら検討していくことになる。
 ケフィア事業振興会破産管財人が現在、消費税の還付を求めて国と係争中だが、このような場合に早期に返還できるような仕組みについて、ワーキングでは審議しているか。
 具体的に上がっている個別の問題については直接審議していないと思う。
 行政の活動として「うまい話しはない」ことを消費者に知らしめることが大事。今まで以上に広報活動を強化いただきたい。悪質事業者は巧妙かつ凶悪化している。手を変え、品を変え、場所を変えてくるので消費者も被害に遭う可能性が常にある。投資詐欺の場合、保証金を差し入れれば、その数倍の取引が可能。投資対象となるものが一定水準値下がりした場合、追加で保証金が必要になる。被害総額も大きくなる。投資詐欺の広報活動も今まで以上に強化していただきいのが要望。
 広報活動も重要。消費者委員会に携わって以降、ますます消費者教育は大事であると認識している。被害に遭った消費者をどうするかとともに、むしろ被害に遭わないために消費者自身でも子供のころから判断力を身に着けていくことも大事であると感じている。
 ワーキングの議論の中で特定適格消費者団体が期待されていることがあるのか、どんな議論がなされたのか教えていただきたい。破産手続きの一部を特定適格消費者団体が担当することが記載されている。どのようなことが念頭にあるのか。
 一つは、破産申立権。一般的に被害者側から破産申し立てをするのはかなり負担になる。一定の場面においては特定適格消費者団体が破産の申し立てをできたほうが良い。消費者裁判手続特例法にもとづく簡易確定手続きを遂行する中で事業者が破産状態に至った場合、簡易確定手続きから破産手続きへの円滑な移行を可能とするような方向で特定適格消費者団体に破産申し立ての権利を認めるのは一定の意義があると考える。
また、破産が既に申し立てられた後に特定適格消費者団体がどういう関与ができるかに関しては、破産管財人との間で一定程度の権限を持って対抗できる債権者グループという位置づけを特定適格消費者団体に与えることも考えられるのではないかという議論もあった。しかし、構想としては考えられないわけではないが、これは破産法の議論から言うとすぐに実現する問題ではない。
現時点で想定するのは、破産申立権を与える方が特定適格消費者団体については現実的であると思う。