消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

申入れ・要請等

美容液に注入するカプセル「パーソナライズセラム」の定期購入販売を行う株式会社my'sのサイトの表示(解約方法、返金保証)および利用規約(免責条項)について改善が図られました。

 消費者機構日本は消費者からの情報提供を受け、商品「パーソナライズセラム」の定期購入販売を行う株式会社my'sに対し、下表のとおり、解約の方法、30日間返金保証の表示及び全部免責条項につき、「申入れ・要請」を行ってきました。

 このたび同社から、当機構が求めた事項につき、是正する旨の回答があり、その確認ができましたので公表します。

1. 当機構からの申入れ・要請等の概要と株式会社my'sによる是正の概要

申入れ・要請等の概要 是正の概要
【解約方法の拡充の要請】
 電話以外の方法、すなわち定期購入のサイトに解約専用の受け付けフォームを設置すること、メールやFAX、郵送も認めることをご検討ください。併せて、電話受け付け体制の拡充をご検討ください。
 電話以外の解約について、メールからも受付けていることを特定商取引ページにも記載する。
 電話受付体制については増設を行い、また社外のコールセンターと契約を締結した。それ以降は90%以上の応答率を維持している。
【30日間返金保証の表示に係る是正の申入れ】
「万が一お体に合わなかった場合、注文日から30日間の返金保証を実施」との記載からは、容易に30日間分の返金が受けられるとする表示が強調されている。ただし、実際の返金条件は条件成就がし難い上、返金額も極めて少額になる。このような表示は、取引条件が実際のものよりも著しく有利であると誤認される表示であることから景品表示法第30条第1項第2号の「有利誤認表示」に該当すると言える。
 当該表示を速やかに削除し適正な表示に修正するよう申入れる。
「30日間返金保証」の表示については、消費者の方にご理解をいただけるように同ページ内に説明を記載しているが、ご指摘をもとに社内でも検討した結果、返金保証制度を一旦廃止することとした。また、再度返金制度を開始する際には、消費者に理解いただける表示に努める。
【利用規約10条4項および同条6項の規定の削除または改訂の申入れ】
 貴社の利用規約第10条(免責)4項において「my'sは、医薬品、医薬部外品等ではありません。弊社が販売した商品に起因する肌トラブル等は一切の責任を負いません。」とある。
 また、同条6項は「ゆうパケットでの配送となる為、郵便事故については一切責任を負いません。※万が一届かない場合は、郵便局にて追跡番号での確認、または調査をご依頼下さい」とある。
 これらの条項は、貴社に起因する責任を含め「一切の責任を負いません」と記載しており、貴社の責任につき全部免責を定めるものである。
 消費者契約法8条1項1号3号は、事業者の損害賠償の責任を全部免責する条項を無効と定めているところ、上記利用規約10条4項及び同6項は,全部免責を定めるものであって、消費者契約法8条1項1号3号により無効となるものと考えられることから改訂を求める。
利用規約10条4項
【変更前】
 my'sは、医薬品、医薬部外品等ではありません。弊社が販売した商品に起因する肌トラブル等は一切の責任を負いません。
【変更後】
 弊社が販売した商品に起因する肌トラブル等は一切の責任を負わないとする条項を、軽過失については損害賠償の範囲を制限する条項に改定した(第2文として追加した)。
 最終的に、第2文として追加した軽過失については損害賠償の範囲を制限する条項を削除した。
利用規約10条6項
【変更前】
 ゆうパックでの郵送となる為、郵便事故については一切責任を負いません。※万が一届かない場合は、郵便局にて追跡番号での確認、または調査をご依頼下さい。
【変更後】
 利用者が指定する配達場所に非対面で配達する配達方法である場合は、利用者の在宅状況にかかわらず、配達場所に商品が置かれた時点で配送が完了となり、当社は利用者に対する商品の引渡し義務を履行したものとします。配達場所への配送が完了した後の、商品の劣化、紛失、盗難、汚損、破損、荷札に記載された情報の漏えい等による損害について、当社は一切の責任を負いません。

2. 利用規約10条(免責)4項の是正までの経過

<当初の利用規約10条(免責)4項>

 my'sは、医薬品、医薬部外品等ではありません。弊社が販売した商品に起因する肌トラブル等は一切の責任を負いません。

⇒これに対し、当機構から次の趣旨の申入れ(1回目)を行いました。
「利用規約10条(免責)4項は全部免責を定めるものであって、消費者契約法8条(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)1項1号3号により無効となるものと考えられることから改訂を求める」

 この申入れに対し、上記の第1文に次の第2文を加える形で改善案が示されました。

(第1文省略)
 何らかの理由により当社が利用者に対し責任を負う場合であっても、利用者が被った損害につき、当社に支払った対価の金額を超えて賠償する責任を負わない。

⇒しかし、この改善案では、債務不履行責任あるいは不法行為責任を負う場合であっても、損害賠償の範囲を利用者が貴社に支払った対価の金額に限定し、故意や過失の態様を問わず一部免責を認める条項となるため、更に第2文の削除または改訂を申入れ(2回目)を行いました。

 この申入れに対し、第2文の修正案が次のように示されました。

(第1文省略)
 何らかの理由により当社が利用者に対し責任を負う場合であっても、当社は、利用者が被った損害につき、利用者が当社に支払った対価の金額を超えて賠償する責任を負わないものとする。但し、当社に故意又は重過失がある場合にはこの限りではない。

⇒しかし、この改善案では、軽過失の場合の損害賠償の範囲が制限されてしまいます。販売する商品の性質上、肌トラブルや健康トラブルなどの不測の損害(拡大損害)が想定されうるため、消費者が請求しうる損害賠償の範囲をその支払った対価という僅少な額に制限することにより、消費者が自ら被った全損害を回復することができないという著しい不利益を被るおそれがあります。したがって、第2文の削除または改訂を重ねて申入れ(3回目)ました。

 この申入れに対し、第2文の修正案が次のように示されました。

(第1文省略)
 何らかの理由により当社が利用者に対し責任を負う場合であっても、当社は、利用者が被った損害につき、利用者が当社に支払った対価の金額又は30,000円のいずれか高い額を超えて賠償する責任を負わないものとする。但し、当社に故意又は重過失がある場合にはこの限りではない。

⇒しかし、この改善案では、軽過失により債務不履行責任あるいは不法行為責任を負う場合であっても、損害賠償の範囲を利用者が貴社に支払った対価の金額又は30,000円いずれか高い額に限定するものであり、本質的な改訂がされているとはいえません。そのため、第2文の削除を求めて申入れ(4回目)を行いました。

 この申入れに対し、第2文の修正案が次のように示されました。

 当社は、本サイト又は本サービスが利用者の特定の目的に適合すること、利用者が期待する品質、商品的価値、正確性又は有用性を有すること、本サイト、本サービス又は当社からの情報提供が正確性、最新性、有用性、信頼性、適法性、永続性を有すること、及び不具合が生じないことなどについて、何ら保証するものではありません。
(第2文削除)

3. 改定後の利用規約第10条(免責)4項および6項