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差止請求訴訟

株式会社エーチーム・アカデミーに対し、差止請求訴訟を東京地方裁判所に起こしました。
東京地方裁判所平成30年(ワ)第15327号

1.差止請求訴訟を提起するまでの経緯

  1. (1) 消費者より、当該事業者の運営する芸能人養成校「エーチーム・アカデミー」(以下、「本件学校」といいます。)の入学時諸費用(38万円)の不返還についての情報提供が当機構に寄せられました。
    当機構で本件学校の学則を確認したところ、「退学あるいは除籍に際して、すでに納入している入学時諸費用は返金しない。」「オリエンテーション実施日以後の退学等の場合は、入学時諸費用を返金しない。」という条項がありました。
  2. (2) 当機構は、当該事業者に対し、上記内容が消費者契約法第9条第1号に抵触する不当条項であると考えられることから上記内容の意思表示を行わないこと(本件学校の学則から削除すること)を求め、2017年9月4日付で裁判外での申入れを行いました。
    これに対し、当該事業者より同年10月19日付で回答書が送付されました。
    2017年9月4日付「申入書」
    2017年10月19日付「申入書のご回答」
  3. (3) 当該事業者からの回答は「申入れ事項の全てではなく、一部について改訂の検討に入る」というものであり、当機構の申入れ(学則から入学時諸費用の不返還条項を削除すること)に沿った具体的な内容ではありませんでした。
    当機構は、入学時諸費用を不返還としていることが問題である理由を記した再申入書を2017年11月17日付で当該事業者へ送付しました。
    これに対する回答がいただけなかったため、同年12月26日付及び2018年2月9日付で文書にて回答を要請しましたが、当該事業者からは回答をいただけませんでした。
    2017年11月17日付「再申入書」
    2017年12月26日付「『再申入書』に対する回答の要請」
    2018年2月9日付「『再申入書』に対する回答の再要請と41条請求について」
  4. (4) そのため、当機構は、2018年4月25日付で消費者契約法第41条第1項に定める書面による差止請求を行いました。
    その後、1週間余を経過しても差止請求の趣旨に添った措置が執られたことが確認できなかったため、2018年5月16日に同事業者を被告とする訴訟を東京地方裁判所へ提起しました。(東京地方裁判所平成30年〔ワ〕第15327号)
    2018年4月25日付「差止請求書」
    2018年5月16日付「訴状」

2.差止請求の趣旨

 以下の内容を請求します。

  1. (1) 当該事業者は、消費者との間で契約をするに際し、下記内容の意思表示を行わないこと。
    1. ①退学の際、すでに納入している入学時諸費用を返金しないとの意思表示
    2. ②除籍処分の場合、すでに納入している入学時諸費用を返金しないとの意思表示
  2. (2) 当該事業者は、前項の意思表示が記載された契約書、約款、学則その他一切の表示を破棄すること
  3. (3) 当該事業者は、その従業員らに対し、第1項記載の意思表示を行ってはならないこと及び前項記載の契約書、約款、学則その他一切の表示を破棄して使用しないことを周知徹底させる措置をとること