消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

申入れ・要請等

アエラホーム株式会社(建築請負事業者)の建築工事請負契約約款が、協議を経て、改善されました。

 消費者機構日本は消費者からの情報提供を受け、アエラホーム株式会社(東京都千代田区)に対して、当該事業者が使用する建築工事請負契約約款(以下本件約款という)について、「申入れ・要請・問合せ」を行いました。

 当該事業者から、9月14日付で回答を受領し、その後、面談や文書による意見交換を重ねてまいりました。その結果、一部見解の相違があるものの、当機構の「申入れ・要請・問合せ」の趣旨に従い、概ね本件約款が改善されることになりましたので、協議を終了しました。なお、当該事業者と見解が相違し、合意に至らなかった事項につきましては、今後の被害情報を注視し、必要に応じて改めて申入れを検討していくこととします。

 当機構の「申入れ・要請・問合せ」内容と当該事業者の回答は以下の通りです。

 なお本件につきましては、合意書を締結して協議を終了しました。

  消費者機構日本の申入れ等の内容 アエラホームの回答
申入れ事項① 【本件約款第9条第4項】  
  1. ○建築確認申請が受けられない為に、本契約の内容が変更された場合、その増額の費用は注文者者が負担する条項。
     請負者の責により建築基準法令に適合しない為に、建築確認済証の交付を得られない場合であっても、すべての賠償責任を注文者にもとめる条項であり、消費者契約法第10条により、無効である。
  2. →事業者の回答を受けて、アップグレードによる増加費用について、注文者が負担することはある程度理解ができるが、建築確認申請に関する費用以外に事業者が負担すべきものはないのか、建築確認申請にかかる費用の他にも、事業者の責により事業者が負担すべきものがある場合にそれも含めて事業者が負担することがわかる表記に変更を求めたが、平行線のまま、合意に至らなかった。
  1. ○請負者である弊社の責に帰すべき事由により、契約内容を変更し、再度建築確認申請をする場合でも、再度の建築確認申請に関する費用以外の増加費用は、弊社が負担すべきものではないと考えている。例えば、弊社のミスにより、指定確認検査機関から、採光要件を満たさないことを理由に,修正を求められた場合、採光のため窓を新設する内容で建築確認申請を修正し、再度、建築確認申請に要する費用は、弊社が負担すべきものと考える。しかし修正により新たに設けることとなった窓は、完成する建物の一部となることから、当該窓の設置のため増加する材工の費用は、それを取得することになる注文者がその費用を負担すべきものであり、また、当該増加費用が,前記弊社のミスと相当因果関係の範囲にある損害とも考えられない。その為、「変更によって生じる材料、工事等の増加費用(請負者の責に帰すべき事由により増加した建築確認申請に関する費用を除きます)は、注文者が負担するものとします」と本件約款第9条第4項を修正する。
申入れ事項② 【本件約款第18条】  
  1. ○工事内容の変更によって生じた増加費用及び請負者に生じた損害は、注文者が負担する条項。
     追加変更工事が必要となった際に、その原因が請負者にある場合であっても、注文者に増加費用及び損害を負担させる規定であり、消費者契約法第10条により無効である。
  1. ○「変更によって生じた増加費用及び請負者に生じた損害(逸失利益及び請負者の責に帰すべき事由により請負者に生じた損害を除きます)は注文者が負担するものとします」という表記に修正する。
申入れ事項③ 【本件約款第35条第3項】  
  1. ○訴訟により紛争の解決を図る場合は、東京地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする条項。
     消費者が他の裁判所で訴訟を提起できる場合を規定する民事訴訟法第5条(本支店の所在地を管轄する裁判所に提訴することができる)の場合に比して消費者の権利を制限する条項である。
  1. ○「訴訟により紛争の解決を図る場合は、注文者の住所もしくは建築用地所在地を管轄する地方裁判所または東京地方裁判所を合意管轄裁判所とします」という表記に修正する。
要請事項④
  1. ○本件約款において「注文者は異議なくこれを承諾するものとします」という条文を、契約書面から削除すること。
  1. ○本件約款から「注文者は異議なくこれを承諾するものとする」という条文を削除する。
第15条第4項
第18条第3項
第19条第1項
第20条第1項
要請事項⑤ 【本件約款第23条】  
  1. ○本件約款に定める「保証書」を提供してほしい。
  1. ○「保証書」はなく、「アフターメンテナンス手帳」と「住まいのメンテナンスガイド」を引渡し時に渡して、保証について説明している。本件約款第23条の「保証書」の表記を削除する。第23条の表記を全面的に修正する。

第23条(瑕疵担保責任等)

  1. 1 本住宅に瑕疵があるときは,注文者は,請負者に対して,相当の期間を定めて,瑕疵の修補を求めること,または修補に代えもしくは修補とともに損害の賠償を求めることができるものとします。ただし,瑕疵が重要でなく,かつ,修補に過分の費用を要するときは,注文者は,修補を請求することができないものとします。
  2. 2 瑕疵が,注文者の指図,支給材料等注文者の責めに帰すべき事由によるものであるときは,請負者は担保の責めを負わないものとします。ただし,請負者が注文者の指図,支給材料等の不適当なことを知りながらこれを告げなかったときはこの限りでないものとします。
  3. 3 瑕疵が,構造耐力上主要な部分または雨水の侵入を防止する部分として住宅の品質確保の促進等に関する法施行令第5条第1項及び第2項に定めるものの瑕疵(構造耐力または雨水の侵入に影響のないものを除く。)であるときは,瑕疵担保期間は,引渡し日から,10年間とします。
  4. 4 前項以外の本住宅の瑕疵については,瑕疵担保期間は,引渡し日から,2年間とします。
問合せ事項① 【本件約款第7条第2項】  
  1. ○注文者の責めに帰すべき事由により地盤調査が実施できないため、地盤軟弱等を原因とする建築物の基礎・軸組・床・壁・屋根(主要構造部分)の構造耐力性能の低下による破損・傾き等が生じた場合は、請負者は、当該破損・傾き等について、すべての責任を免れるものとするとしているが、「注文者の責めに帰すべき事由により地盤調査が実施できない」場合とは、どのような事態を想定しているのか。地盤調査をしないで、設計、工事を開始することはあるのか。
  1. ○注文者の責めに帰すべき事由により地盤調査が実施できないということは皆無の為、本条項は削除する。
問合せ事項② 【本件約款第14条第2項】  
  1. ○本住宅および第三者に対する損害防止の為、工事と環境に相応した必要な処理をとる旨の定めがあり、契約締結時に当事者に予想できなかった費用を発生させた場合は、その費用は注文者が負担するものとするとしているが、「当事者に予想できなかった費用とは具体的にどのような費用のことか。
  1. ○例として、外観上はまったく異常のない近隣家屋を詳細に調査した結果、基礎が腐っており、そのため大掛かりな防護処置が必要となった場合が考えられる。四会約款では、注文者と請負者が協議して、請負代金に含むことが適当でないと認めたものの費用は注文者が負担するものとしているので、同様の表記にする。
問合せ事項③ 【本件約款第16条第2項】  
  1. ○工事に際して第三者に損害を与えた場合の損害賠償について、請負者の責めによらず、民法上の過失がないのに、注文者が責任を負う必要があるのか。
  1. ○「注文者の責に帰すべき事由により第三者に損害を与えた場合は、注文者がこれを負担するものとします。」という表記に変更する。
問合せ事項④ 【本件約款第25条】  
  1. ○本住宅の引渡しを遅延した場合は、注文者は請負者に対して、請負代金から出来形部分等及び発注済の材料に対する請負代金相当額を控除した金額について、年利10%の割合による遅延損害金を請求できることができるが、仮住まいの賃料も含めた実際の損害額が年10%を超えた場合も保証するのか。
  1. ○注文者に認められる損害賠償の範囲を制限する規定ではなく、規定を超えた損害賠償請求を排除するものではない。