消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

申入れ・要請等

大東建託株式会社(建築請負事業者)と協議の結果、注文書に記載の申込金の不返還条項と工事請負契約約款の契約時金の不返還条項が改善されました。又これまでの当該不返還条項により返還を受けられなかった方への返還を要請しましたが、返還はできないとの回答がありました。

 消費者機構日本は消費者からの情報提供を受け、大東建託株式会社(東京都港区)に対して、当該事業者が使用する注文書及び工事請負契約約款(以下本件約款という)について、「申入・要請・問合せ」を行いました。

 当該事業者と文書協議を重ねた結果、当機構の申入れ事項に対して、改善されたことを確認しました。

 申入れ内容と回答は以下の通りです。

  消費者機構日本の申入れ等の内容 大東建託の回答
申入れ事項① 注文書記載の申込金の不返還について
 今後、注文書に記載の内、下線部分を内容とする意思表示を行わず、またこれを削除することを求めます。
注文書の記載内容を以下のとおり、変更いたします。なお、変更後の注文書につきましては、平成30年5月8日以降の新規の注文から使用を開始しています。
注文書
 本注文が新築工事請負契約に至らなかった場合、申込金は御社で要した諸経費等に充当されるものとし、申込金の返金請求はしない事を承諾します。
注文書
 貴社が新築工事請負契約の締結前に、費用の発生する地盤調査等を行うことを承諾します。本注文が新築工事請負契約に至らなかった場合、申込金は、地盤調査費用等に充当され、残額がある場合には、その残額が返還されることについて、貴社より説明を受けたことを確認します。また、その内容について承諾します。
申入れ事項② 今後、消費者との間で、契約の締結の際に使用している工事請負契約約款(以下「本件契約約款」という)第12条の内の下線部分(以下、「本条項2」という。)を内容とする意思表示を行わず、また本件契約約款からこれを削除することを求めます。 建築工事請負契約約款第12条(1)項を以下のとおり変更いたします。なお、変更につきましては、平成30年4月1日以降の新規の請負契約からとなります。
第12条 注文者の中止権・解除権
(1)注文者は、必要によって、書面を請負者に通知して工事を中止しまたはこの契約を解除することができるものとします。この場合、注文者は契約時金を放棄するとともに、これによって生ずる請負者の損害を補償するものとします。
第12条 注文者の中止権・解除権
(1)注文者は、必要によって、書面をもって請負者に通知して工事を中止しまたはこの契約を解除することができるものとします。この場合、注文者は、これによって生じる請負者の損害を賠償するものとします。

 このように、契約に至らなかった場合の、申込金不返還条項と、契約後の契約解除時の契約時金不返還条項は、改善されました。

 これを受けて、当機構では、当該事業者に対し、下記2点について、返還をするよう要請しました。

①平成28年10月1日以降、建築工事の申込を受けたケースにおいて、申込金を受領した後、建築工事請負契約が成立しなかった場合、地盤調査を行わなかったのに申込金を返還しなかったこと、または申込金を地盤調査等に充当した上で、残額があったのに返還しなかったことがあれば、いずれも当該申込金ないし残額を返還すること。

②平成28年10月1日以降、建築工事の契約を締結したケースにおいて、注文者が建築工事請負契約を解除した場合の契約時金について、改定後の工事請負約款第12条1項に沿って計算したうえで、返還すべき契約時金があるのに返還しなかったことがあれば、当該契約時金ないし残額を返還すること。

 しかしながら、当該事業者からは、本件には消費者契約法は適用されないと考えていることなどから、上記①、②の返還要請には応じることができないとの回答がありました。

 当機構としては、今後の対応について検討していきます。進展があり次第、当ウェブサイトにて報告いたします。