消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

差止請求訴訟

株式会社MOMOXに対し、不当条項の差止請求訴訟を提起しました。

1.差止請求訴訟を提起するまでの経緯

  1. (1) 当該事業者が運営する「日本ライティングセンター」(IELTS、TOEFL対策)の英語ライティング添削のフリートライアルを利用した消費者から、当機構にトラブル情報が寄せられました。
    当機構で規約を確認したところ、消費者契約法第9条1号に違反する不返還条項や同法第8条1項に違反する免責条項、同法第10条に違反する解除権制限条項が確認できました。また、同じく当該事業者が運営する「英語試験ライティングセンター」(英検1級と準1級のライティング対策)でも、同様の規約を使っていることを確認しました。
  2. (2) そこで、当機構は、当該事業者に対し、規約の定めが消費者契約法第8条ないし第10条に抵触する不当条項であると考えられることから上記内容の意思表示を行わないこと(規約から削除すること)を求め、2021年2月3日付で裁判外での申入れを行いました。
    2021年2月3日付「申入・要請および問合せ」
  3. (3) しかし、当該事業者からの回答がなかったため、同年3月10日に文書にて回答を要請しましたが、当該事業者からは回答がありませんでした。
    2021年3月10日付「ご回答のお願い」
  4. (4) そのため、当機構は、2021年9月6日付で消費者契約法第41条第1項に定める書面による差止請求を行いました。
    その後、1週間余を経過しても差止請求の趣旨に添った措置が執られたことが確認できなかったため、2021年9月15日に同事業者を被告とする差止請求訴訟を東京地方裁判所へ提起しました。(東京地方裁判所令和3年〔ワ〕第24006号)
    2021年9月6日付「差止請求書」
    2021年9月15日付「訴状」

2.差止請求の趣旨

 以下の内容を請求します。

  1. (1) 当該事業者は,消費者との間で,会員契約を締結するに際し,下記内容の意思表示を行わないこと
    1. ①英語試験ライティングセンター規約において,
      1. ア会員が会員資格を抹消された場合に返金は認めないとの意思表示
      2. イ退会時の返金は認めないとの意思表示
      3. ウ一度納入した金額は返金できないとの意思表示
      4. エ会員に発生した損害が当該事業者の重過失による債務不履行又は不法行為に基づくときに,当該事業者の損害賠償責任を当該会員が直接被った損害を上限とするとの意思表示
      5. オ会員に発生した損害が当該事業者の軽過失による債務不履行又は不法行為に基づくときに,当該事業者が損害賠償責任を負わないとの意思表示
      6. カ支払後のキャンセルを受け付けないとの意思表示
    2. ②日本ライティングセンター規約において,
      1. ア当該事業者が会員との契約を解除した際に返金はないとの意思表示
      2. イ会員が会員資格を抹消された場合に返金は認めないとの意思表示
      3. ウ退会時の返金は認めないとの意思表示
      4. エ一度納入した金額は返金できないとの意思表示
      5. オ会員に発生した損害が当該事業者の重過失による債務不履行又は不法行為に基づくときに,当該事業者の損害賠償責任を当該会員が直接被った損害を上限とするとの意思表示
      6. カ会員に発生した損害が当該事業者の軽過失による債務不履行又は不法行為に基づくときに,当該事業者が損害賠償責任を負わないとの意思表示
      7. キ支払後のキャンセルを受け付けないとの意思表示
  2. (2) 当該事業者は,前項の意思表示が記載された契約書,約款その他一切の表示を破棄すること
  3. (3) 当該事業者は,その従業員らに対し,(1)記載の意思表示を行ってはならないこと及び(2)記載の契約書,約款その他一切の表示を破棄すべきことを周知徹底させる措置をとること