消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

差止請求訴訟

「保険を使って無料で修理」を謳う業者(株式会社ジェネシスジャパン)に対し、差止請求訴訟を東京地方裁判所に起こしました。

1.問題の背景

 近年、火災保険の利用により実質0円で修繕工事ができると勧誘する住宅修理サービスに関する相談事例が急増しており、解約時に高額な違約金を請求されたり、解約できないと言われたりするなどのトラブルに発展して、社会問題化しています。

2.事案の概要

 株式会社ジェネシスジャパン(以下、「ジェネシスジャパン」といいます。)は、「火災保険の達人」という名称のインターネットサイトにおいて、「火災保険適用で屋根・雨樋・外壁を実質負担0円で修理します」などと勧誘して、建物改修工事請負契約(以下、「本件契約」といいます。)を締結しています。

 本件契約では、工事代金が入金されてから30日以内に工事に着手することが定められており(第4項)、消費者は、保険金受領後7日以内に工事代金を支払うことが定められています(第7項)。そして、本件契約の約款では、消費者が支払期限までに支払わないことによってジェネシスジャパンが契約解除した場合、保険金の15%を違約金として、さらに保険金の20%を調査見積費用として支払うことが定められています(第11条第2項)。つまり、着工前の契約解除において、保険金(工事代金と同額となります。)の合計35%を消費者が支払うことが定められています。

 以上より、当機構は、上記約款の定めが、平均的な損害を超えた損害賠償額の予定及び違約金の定めであり、消費者契約法第9条第1号に違反する不当条項であるから、平均的な損害の額を超えた部分については無効であるとして、当該不当条項に係る意思表示等の差止めを求める訴訟を本日(2021年12月15日)付けで東京地方裁判所に提起いたしました。

以上