被害回復訴訟
【2025年4月28日:掲載】
(株)アカデミー・エンターテイメントに対して、入学時諸費用の一部の返還を求める裁判を起こしました。
事案の概要
(株)アカデミー・エンターテイメント(旧:(株)エーチーム・アカデミー)は、タレントを養成する学校を運営している事業者です。
本日、消費者機構日本は、消費者裁判手続特例法に基づき当該事業者に対して、不当利得の返還を求める被害回復訴訟(共通義務確認訴訟)を東京地方裁判所に提起しました。(事件番号:令和7年(ワ)11147号)
そして、同日午後2時からは東京の司法記者クラブにて、本提訴に係る記者会見を実施しました。
請求の趣旨
(1) 今回の訴訟にて、対象とした消費者の範囲は次のとおりです。
- ① 2016年(平成28年)10月1日から2021年(令和3年)3月31日までの間に、当該事業者との間で、本件学校の受講契約を締結し、当該契約に基づく入学時諸費用の支払いをし、2021年(令和3年)3月31日までの間にオリエンテーションが実施され、その実施日以降、就学期間の修了前に受講契約の解除がされた者。
- ② 2020年(令和2年)4月1日から2024年(令和6年)5月31日までの間に、当該事業者との間で、本件学校の受講契約を締結し、当該契約に基づく入学時諸費用の支払いをし、2021年(令和3年)4月1日以降オリエンテーションが実施され、その実施日から起算して8日を経過した以後、就学期間の修了前に受講契約の解除がされた者。
(2) 今回の訴訟にて、当該事業者に対して、上記(1)の消費者に返金すべきと求めた金員は次のとおりです。
- ① 入学時諸費用から平均的損害を超えて受領した金員。
- ② 上記①に係る金員に対する履行請求の翌日から支払い済みまで年3分の割合による遅延損害金。
提訴までの経過
当機構は2018年(平成30年)5月16日、当該事業者に対して、入学時諸費用の不返還を定めた契約条項の削除を求める差止請求訴訟を提起しておりました。
※当機構の当該事業者に対する差止請求訴訟の経過は、次のURLからご確認ください。
https://www.coj.gr.jp/injunction/topic_240404_01.html
2024年(令和6年)3月15日の最高裁判所の決定により、控訴審の「退学や除籍処分の際、入学時諸費用(38万円)のうち7万円を超えて返還しないとの意思表示をしてはならない。」との高裁判決が確定しておりました。
その後、当機構は当該事業者に対して、最高裁判所の判断にそって受講契約期間中(1年間)に退学者等した消費者に入学時諸費用(38万円)から7万円を引いた金員(31万円)を自主的に返金するよう等を裁判外で求めましたが、当該事業者からは返金には対応できない旨の回答が届いたため、本日の提訴に至りました。
今後について
消費者裁判手続特定法に基づく被害回復訴訟は、裁判が2段階に分かれています。1段階目の「共通義務確認訴訟」は、当機構が原告となって事業者の対象消費者への金銭の支払い義務の確認を求めます。裁判所が事業者に支払い義務があると判断した場合には2段階目の「簡易確定手続」に進み、対象となる消費者個人への金銭の分配手続きに入ります。
※被害回復制度の詳細は次のURLからご確認ください。
https://www.coj.gr.jp/seido/#anc-recovery
本日、当機構が提訴したのは被害回復訴訟の1段目の「共通義務確認訴訟」部分です。2段階目の「簡易確定手続」に進めるかどうかは裁判所の判決によりますが、訴訟の進捗状況はホームページでお知らせしますので、適宜、ご確認ください。
裁判の進捗状況
日付 | 内容 |
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2025年4月28日 | 東京地方裁判所に共通義務確認訴訟を提訴 |