消費者機構日本(COJ)は、消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進めます

申入れ・要請等

大東建託株式会社(建築請負事業者)は、2016年10月1日以降に建物新築工事を申込後、契約に至らなかった方に対し、受領した申込金を返金(地盤調査等の費用がある場合はその額を控除)することを表明しました。

【返金対象者】

2016年10月1日以降、建物建築請負契約の注文をし申込金を支払ったが契約に至らなかった方で、注文時に支払った申込金が返還されていない方(ただし地盤調査費等を控除した残額が返金されている方は除く)

返金手続とスケジュール

※すべて大東建託による対応です。当機構は関与しません。

対象者へご案内文書を送付
2019年4月23日頃
返送受付
2019年5月10日(※超過しても対応)
返金額通知(合意書送付)
2019年5月20日まで
返金手続
2019年5月31日より開始

※返金に対するご質問は、大東建託㈱お客様サービス室(0120-1673-43)にて受けているとの説明を受けています。

この間の経緯

 当機構は、大東建託株式会社(以下大東建託という)に対し、建物建築工事の契約に至らなかった場合の申込金不返還条項と契約後に契約解除した際の契約時金不返還条項について是正の申入れを行い、大東建託はこれら条項を是正しました。

 この回答を受け、当機構は大東建託に対し、2016年10月1日以降に建築請負契約の注文をし、それを撤回した方、及び同年同月同日以降に建築工事請負契約を取り交わしたものの解除した方へ、それぞれ是正された注文書及び建築工事請負契約書の内容にそって申込金または契約時金を返還するよう要請しました。しかし大東建託からは、返還はできないとの回答でした。

 その為、当機構は、「注文書」および「工事請負約款」の是正前後のトラブルの実態を把握することを目的に広く消費者の方々から情報提供の受付けを行いました。

 その後、4月4日付で大東建託より「ご連絡」を受領し、当機構が要請していた事項のうち、申込金については返金すると回答がありました。建築請負契約にもとづく契約時金については、当該条項是正前においてもその定めとは異なり、個別具体的な事情に基づいて精算協議を行い、双方納得の上で書面を取り交わす方法で精算手続きを行ってきたので、あらたな対応をとる予定はないとの回答でした。

大東建託の4/4付「ご連絡」に対する当機構の評価と対応

  1. ①建物新築工事の申込を受け、申込金を受領した後に契約に至らなかった案件
    当機構からの要請の趣旨を理解し、返金対応を実施されることは、評価できると考えますが、さらに以下の点について再要請しました。
    1. 1) 当初、当機構が「2016年10月1日以降の申込」の方に返金を限定したのは、消費者裁判手続特例法に基づいて当機構が大東建託に対して返還請求できる範囲が限られているからであり、制度上の制限によるものである。他方、大東建託が申込金の返還手続に応じる場合、「2016年10月1日以降の申込」に限定する合理的な理由はない。したがって2016年10月1日より前の申込についても同様に、申込金を返還してほしい。具体的な対応について回答を求める。
    2. 2) 申込後相当期間が経過しているにもかかわらず、建築工事請負契約に至っていない案件については、申込撤回の意思確認を行うなど然るべき対応をとってほしい。
    3. 3) 申込金返還状況について、当機構に報告してほしい。
  2. ②建物新築工事請負契約を締結後、契約を解除した案件
    旧約款では、契約時金を放棄と記載していたものの、実際にはそのような運用はしておらず、契約時金を含めて精算し合意解約等をしていたとの回答でした。当機構に寄せられた情報でも、一律に契約時金を不返還としている情報は確認できませんでしたので、これ以上の要請は行わないこととしました。
  3. ③契約解除の精算について
    当機構が消費者に情報提供を呼びかけたところ、契約解除を申し入れても、なかなか精算手続に応じてくれない旨の苦情が多数寄せられました。その為、「注文者が契約解除の意思表示を行った場合には、速やかに精算手続を行うなど然るべき対応をとること。」を要請しました。

注記

 なお、再要請につきましては、大東建託で検討後、回答をいただく予定です。回答を受領後、回答内容を本ウェブサイトにて報告いたしますので、しばらくお待ちください。再要請の趣旨等に関する問い合わせは、当機構(☎03-5212-3066)へお願いいたします。